wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

2005年の考察(抜粋)11

私の家の近くの病院に(おそらく仕事で)もう20年近く通っている盲目の女性がいる。家路の途中で時々見かけるのだが、彼女は一人で、でこぼこの道を、車が行き来する決して安全ではない道を、自分の白い杖と路面の点字ブロックを頼りに駅まで歩いている。音…

2005年の考察(抜粋)10

本研究を通じて感じたことは、多くの人があまりにも自己を身体性に預けすぎているということ、そして「身体」で個々の人間を規定する「社会」の価値観を疑いもせずに受け入れ、自己を任せすぎているということである。精神と身体の性の不一致に悩むことがな…

2005年の考察(抜粋)9

そして、どうしても男は~、女は~、と全体をみなしがちである。俗っぽい言い方をするならば、「男のくせに、はっきりしないヤツ」(男は堂々とあるべき、という考えの裏返し)もいれば「リーダーシップもあり、部下からも信頼され、仕事のできる女性上司」(…

2005年の考察(抜粋)8

最後に、本研究のまとめとして、私の見解を述べようと思う。 「精神に性の違いはない」「ゆえに両性は平等である」というプーランの主張についての私の考えはやはり同意するに至った。 プーランが最も言いたかったのは、既存の法律や慣習といった、ルールや…

2005年の考察(抜粋)7

私は、本研究をするにあたって、自分の立場を明らかにし、プーランの姿勢に学ぶべく、拡大解釈をしないよう、冷静にみてきたつもりだ。だが、これはやはり人間のすることであり、私が気づかぬ私自身の「偏見」が入り込んでいるかもしれない、ということを自…

2005年の考察(抜粋)6

ここ数年で、「ジェンダー」という言葉がよく聞かれるようになったが、誤って解釈されたまま、一般化されてしまっている感を否めない。 また、「ジェンダー・フリー」という言葉も「性別をなくす」といったように誤って解釈されている。月刊誌『女性展望』創…

2005年の考察(抜粋)5

いまだに、女は人間というよりは身体(肉)として、あるいはモノと見なされているような感を否めない。女というものは、アダルトビデオに代表されるような男の性欲の「捌け口」、または家を絶やさないよう子孫を残すための「子産みの道具」としてしか考えて…

2005年の考察(抜粋)4

本研究で、私がプーランから学んだことは、「ある一つの事実も、語る者の立場によって如何様にでも解釈できる」、そして「今まで歴史や学問や法律などを語ってきたのは男だから、うのみにしてはいけない」ということだった。しかし、プーランとて男ではない…

2005年の考察(抜粋)3

私たちは、いつの間にか男、女イメージを各々の中に持っていて、初対面の際は、これまで自分が蓄積してきたデータから「この人はどちらなのだろう」と意識的あるいは無意識のうちに探っているのだ。それは、身体特徴(身長、胸の膨らみの有無・髭の有無、体…

2005年の考察(抜粋)2

私が本研究でなぜフランスの、しかも17世紀の思想家の本を背景にして、今の日本の状況を語ろうとしているのかと疑問を持たれるかもしれない。遠い時代の外国の理論を現代の日本に単純に当てはめて考えることはできない、と私の研究そのものに眉をひそめる人…

2005年の考察(抜粋)1

うわっ、16年前に書いた修論が出てきた(^^; でもこれ、今の時代に合ってるんじゃないか? 早すぎたかなあ。 記念に抜粋だけでも載せておくか…。 ここで、本章のまとめをしたいと思う。つい、私たちは「身体の性」と「性自認」が一致するものと思いがちだ。し…

職場見学2

あのあと、またすぐに声がかかった。 今度は公的機関での仕事だ。 通勤経路がちょっと面倒&遠かったが、業務内容でエントリーしたところだった。 いざ会社見学の日。 早めに着いて喫茶店で一服していた。初めて来る駅。見事に何もない。想像していたより地…