wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

2005年の考察(抜粋)10

本研究を通じて感じたことは、多くの人があまりにも自己を身体性に預けすぎているということ、そして「身体」で個々の人間を規定する「社会」の価値観を疑いもせずに受け入れ、自己を任せすぎているということである。精神と身体の性の不一致に悩むことがないかぎり、このようなことを言っても理解してもらえないのだろうか。

私がこれまで出会った中で、こうした社会の価値観にどっぷり浸かっている人の多くは「男だから~でしょ」(男だから女好きなのは当然でしょ、など)「だって女だからやっぱり~したいし」(女の幸せはやっぱり結婚、など)といった言い方を頻繁にする。こういう説明をされるとがっかりする。「あなたがどうしたいのか」を聞きたいのに、それを社会の「当たり前」とされる価値観に任せてしまっている。それ以上考える力を失っている。こういう人たちには、例え外見が美しくても魅力を感じない。

今一度、既存のあらゆる価値観、メディアやそれが投げかけるイメージに翻弄されることのないよう、「どの立場から語っているのか」ということに目を向けてみることが大事であると思う。一つの事実も、伝える者によって大きく異なることがある、ということだ。そして、この社会は「男と女」だけ、また、いわゆる五体満足な「健常者」だけで成り立っている、という〈大きな偏見〉に気づくべきである。