wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

7社目

出版業界は下降の一途。少しだけ経験した編集の仕事も自分には向いてないと悟り、どうしようかと求人誌を見ていたら校正の仕事を見つけた。一人作業のほうが苦にならないので、これならいけるかもと思い応募した。募集した会社はマンションの一室で、社長と面接のあと、校正のテストとSPIみたいなものを受けさせられた。この歳でSPIを受けるとは…。手ごたえを感じなかったもののテストは合格。次に面接。勤務するのは依頼された別の会社だというので、社長と一緒に出向く。面接してくれたのは女性の方2人。一人はちょっときつそうな感じで、私はああいうタイプに好かれないからダメだなあと思っていた。が、意外にも採用が決まった。
7社目、出版社や制作会社ではない、一般企業での仕事がスタートした。ここは企業の管理職研修などを請け負っているコンサルタント会社で、私の仕事は講師が書いた研修結果のレポートを校正することだった。忙しい時もあったが、いままでに比べたら比較的時間が見えるので楽だった。私が配属された部署は女性だらけだったが、嫌な感じはしなかった。結局、求人誌で見つけた会社からは私ともう一人(専業主婦だった)が採用された。その他に派遣会社から来ている人たちもいた。同年代が多く、お昼休みは屋上で弁当を食べたりして和気あいあいとしていた。出版社にこだわっていたけど、私はこういう堅い会社のほうが向いているのかな~と、漠然と思っていた。
私がこの会社に来て8か月目。校正チームのリーダーだった(面接してくれた)人が、退職することになった。寝耳に水だった。すごく信頼できる、仕事のできる人だったのに…。最後に部署のみんなで送別会ランチをした。その翌日、大きな地震が来た。東日本大震災だった。建物は無事だったが、余震が続いていたのですぐに帰宅するよう言われた。電車が止まっていたので会社の上司の家に泊めてもらった。この一週間前、仕事中に歯が痛くなり我慢できず早退した。歯医者に行ったら親不知だと言われ、あまりにひどいので処置ができず、痛み止めをもらって先日歯を抜いたばかりだった。本当は抜糸に行かなければならなかったが、そんなこと言っている場合ではなかった。計画停電などもあり、結局上司の家に2日ほどお世話になって、ようやく自宅に戻った。
それから2週間たった頃、以前いた建物は古くて安全が確保できないということで、私たちはすぐ近くの本社ビルのフロアに移った。私と同じ会社から採用された、専業主婦だった人はすでに辞めていて(空気が読めなかった)、また新しく2人はいってきた。4月から場所もリーダーも変わり、新体制がスタートした。