wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

転職活動

もともとやりたかった出版業界で働きたい、そう決めた。
でも、まずは車がほしい。渡航する前に車もバイクも処分してしまったので、歩いて中古車屋さんを回った。そして格安の車を購入。旧型のプレリュード。18万円。これに決めた。で、登録手続きのため住民票を取りに行ったら「あなたのはありません」と。ああ、そうだった。海外に行くので住民票から抜けていたんだっけ。住民票を復帰させ、車を購入した。
この頃はネットもなく、求人誌を毎週買ってはチェックしていた。出版社の求人自体が少ないうえに、求めているのは経験者ばかり。未経験で編集業務に携われるところはなかった。そして大卒が応募条件の会社が多かった。私は夜学を中退していた。応募しては書類選考で落ち、また応募しては落ちる。そんなことを繰り返していた。履歴書の購入、写真、郵送代など費用がバカにならなかった。妥協して事務職などにも応募した。なるべくならスーツ姿でなくてもいいところを探していた。そんな中、いつも買っている求人誌で永ちゃんの事務所(わかる人が見ればわかる社名)が募集を出しているのを見つける。募集業務は経理だった。民間企業と官公庁の経理事務はちがうけど、ダメ元で応募した。応募理由は「矢沢永吉のファンだから」とだけ書いた。後日、書類選考通過と面接のお知らせが来た。ええ~書類選考通ったよ! 緊張しながら面接会場へ。扉を開けると3人、スーツ姿の男の人が立っていた。そのうちの真ん中の人がリーゼントっぽく、すごく永ちゃんに似ていた。もうそれで舞い上がってしまった。何を答えたか覚えていない。結果、落ちた。でもその後、あのオーストラリア事件が発覚したので、私程度の能力ではお役に立てなかっただろう。好きすぎるものはやっぱり仕事にしないほうがいいと思った。
やっと面接までこぎつけたのは、アルバイトで編集アシスタント。私が好きでいつも買っていたオートバイ雑誌を発行している出版社だった。面接までこぎつけたものの、「君、落ち着いてるねえ」と(当時26歳)暗に「歳くってんだよ」と言われ、落ちた。おっさんのお好みではなかったのだろう。
また、別の車雑誌を発行していた出版社(今も残ってるか~?)で編集アシスタントの面接に行ったとき、面接官であるスーツ姿のおっさん2人が「ご結婚の予定は?」、私「ないです」、おっさん「またまたぁ~。妊娠しちゃいました、なんて言って急にやめたりしないでね~あはは~」。2020年の今なら完全にアウトだ。その軽薄な態度にカチンときて本当のことを言ってやろうとここまで出かかったが、飲み込んだ。どこへ行っても「公務員だったの~もったいないねえ」「ご結婚のご予定は?」ばかり聞かれ、だんだん頭がおかしくなってきた。あとは古いビルで制作会社をやっているところに面接に行ったときは、なぜか圧迫面接だった。事務所の代表らしきおっさんは終始不機嫌な態度で威圧的だった。なんでだ? 私が生意気に見えたのか? いやいや、こちらから仕事がほしくて行ってる立場だし、時間も守ってたし、失礼なことはしていないはずだ。なんなんだろう。なんでうまくいかないんだろう。帰国してからもうすぐ1年経とうとしていた。それまで大嫌いだったのに、ストレスからタバコを吸うようになっていた。