wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

心境の変化

成田空港に着くと、一家そろって迎えに来ていた。父親までくるとはめずらしい。真っ黒で、ちょっと痩せた私を見てびっくりしていた。
我が家に到着。もともとせまい家だが、何もかもがミニチュアに見える。そして何もかも「低い」。洗面台こんなに低かったっけ? 腰が痛くなる。インコちゃんたちは…私を見て逃げ回った。「誰この人?」って感じで目がドギマギしているのがわかる。ああ、やっぱり忘れられていたのね。徐々に慣れていこう。でもちょっと寂しい…。荷物の後片付けなどしてしばらく過ごす。
後日、出発するときに見送ってくれた〇庁時代の同期たちと再会し、おみやげを渡した。仕事は大変みたいだけどみんな元気そうでよかった。
オーストラリアで約1年過ごして、すごく自分を解放できたと感じる。10歳で生理が始まる前の、純粋な子供の頃に戻れたような気がした。振り返ってみれば、それまで人目を気にし、女に見られてるんだから(嫌でも)スカートはかなくちゃいけない、とか、突飛な行動しないように、とか、「こうしなければならない」という思考で、自分を縛っていた。それに、まだ「自分は頭がおかしいんじゃないか」とも思っていた。もともと天邪鬼なところがあったけど、それを押し殺して周りと合わせていた。私は結局体験しなかったが、大学生の就活、あれほど疑問に思うことはない。就活になると突然みんな髪の毛を黒くして、同じ格好をして一斉に企業回りを始める。そして「何をやったか」でなく「どこの大学か」が重視され(プラス女は容姿)、結局、名のある大学の学生から売れていく。私は、あの気持ち悪い集団の中には絶対に入りたくないと思った。ま、現役で大学に行けなかったから関係ないんだけど。
オーストラリアは移民の集まりだからなのか、どんな格好をしても、いちいち他人のことを気にしない。真冬にTシャツだろうと、真夏にダウンを着ていようと、そんなの気にしない。それに、パブや雑貨屋ではゲイっぽい人が働いていたりした。日本じゃ一部のそういう店でしか働けないんじゃないか? という時代にだ。他人からどう思われてもかまわない、自分の嫌なことはもうしない。そう決めた。