wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

13社目

2019年10月。次を決めずに辞めてしまったので、私はまたオーストラリアに行こうと思っていた。が、永ちゃんの日比谷ライブがまさかの当選。びっくりした。じゃあ、ライブが終わってからオーストラリアに行くか。その間に次の仕事も探さねば。しかしこの年は台風がすごかった。あちこちで川が氾濫した。結局、台風のせいで日比谷ライブは中止。まぼろし~となった。くじ運の悪い私が当たるなんてありえない。やっぱりこういう結果になったか。オーストラリア行きも、台風の影響で延期せざるを得なくなった。じゃあ次の仕事…がない。ぜんぜんない。これまで難なく仕事にありつけていた私だったが、これと思うものがない。どうしよう。ギョロ目に惑わされず辛抱して続けていればよかったか。実は在籍中にエントリーした案件があり(外資系)、いざ面接というところまでいったのだが、急に「この話はキャンセルになりました」と派遣会社から告げられた。期待していただけにダメージが大きかった。それで次が決まらないまま契約終了の日を迎えてしまった。
妥協してエントリーしたのは印刷会社。面接は本社で行われた。役員からいろいろ質問された。役員(おっさん=私の天敵)にしたら、いくら派遣といっても、こんなめちゃくちゃな経歴のやつなんて使わないでしょうと高をくくっていた。この時もそうだったが、実際に働く場所には案内されなかった。見せてほしいと強く言うんだった。意に反して採用の通知がきた。住宅街にある古いビル。心が曇る。今までが恵まれすぎていたんだ、と自分に言い聞かせた。親からも友達からもよく言われる「あんたの理想のところなんてないんだから」。かなり迷ったが、お金もなかったので働くことにした。
2019年10月、13社目での仕事がスタートした。派遣会社の営業さんと駅で待ち合わせ、一緒に行く。働く場所は2階だった。せまい階段を昇り、フロアに入ろうとすると第1の衝撃。「あっ、靴はここで脱いでください」。ええっ? そんなの聞いてないよ。スリッパなんて持ってきてないし。このフロアだけは靴をぬがなければならなかった。うう~面倒くさい。靴下に気を抜いていた。仕事自体はさほど難しくなく、余裕を持ってできた。人も悪くなかった。第2の衝撃。10時半、12時、17時に「キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン」とチャイムが鳴った。最初、何のお知らせかわからなかった。なんだか学校みたいで嫌だな。トイレは…と聞くと、部屋を出た階段の踊り場にあるという。これが第3の衝撃(とどめ)。ひょっとしてアレ? いちいち靴を履き替えトイレに行くと、踊り場の狭いスペースに扉が…。ここは女性専用だった。上には男性専用のトイレがあるという。嫌な予感がした。扉を開けると…目に飛び込んできたのは男性の小便器。思い切りスペースをとってドーンとチン座していた。間違ってないよね? 一度外に出て、扉のマークを確認したくらいだ。そのすぐ奥に個室があり、洗面台は小さくて歯磨きもままならない。嫌だ~。いくら使ってないとはいえ、潔癖症の私には耐えられなかった。無理だ。わがままと言われようと無理。靴を脱いだりチャイムがなったり学校みたいで嫌、何よりトイレが無理。派遣の営業さんには正直に言って、試用期間1か月で終了した。周りの人にはよくしてもらったので、ご迷惑をおかけしました、と菓子折りを渡した。