wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

ラジオ

帰国して1年、やっと決まったアルバイトも1年で辞め、その後は鬱々としていた。せっかく自分を解放し、明るくなって帰ってきたのに。私は日本の社会(世間)には受け入れられなかった。写真も好きだったので、これまで撮りためた写真を形にしたくて公募に出すもまったく引っかからず。出版がダメなら写真の技術を身につけようと、個人経営の写真スタジオに就職を決めたこともあった。そこは家からは遠かったので、勤務先の近くに引っ越した。が、店主の奥さんと合わず(やたらつっかかってきた)、とうとう我慢できずケンカしてしまい、一週間で家に戻ってきてしまった。何をやっても中途半端、ダメ人間だった。死にきれず、相変わらずぼんやりしていた。
ある日、新聞の番組欄で「哲学」の文字を見た。哲学…ここに私の求めている答えがあるかもしれないとラジオを聞いてみた。それは、放送大学の授業だった。この人誰なんだろう? 淡々と話しているが力強さを感じる。あとで分かったのだが、放送大学名誉教授(東京大学名誉教授)の渡邊二郎先生だった。ものすごく惹きつけられた。「私は何者なのか」「人間とは」「私という存在は何なのか」という問いに向かい合ってみたい。この先生の講義を受けたい。放送大学通信制)という手もあったか。家で勉強できるし、費用もかなり安く済む。大学を中退したことは引っかかっていた。もう一度大学で勉強したい。
新たな目標を見つけ、生気が戻った。私はまたアルバイト探しを始めた。2001年1月。やっと決まったのは都内にチェーン展開している写真店。それまで接客業なんてやったことなかったが、そんなこと言ってられない。当時すでにデジタルカメラが登場し、幅をきかせてきた頃だったが、まだフィルムのほうがメインだった。機械任せとはいえ、現像、プリント、証明写真の撮影など、写真に関わる仕事だったので楽しかった。そして前の大学から証明書を取り寄せ、2001年4月に編入学した。バイトと勉強を両立する日々が始まった。