wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

アデレード

早朝、バスターミナルからかなり歩いてアデレードユースホステルに着く。と、なにやら注意を引く紙が貼ってある。ああそうか、と腕時計の針を30分戻す。でかい国なので国内でも時差がある。州をまたぐときは気をつけないと大変なことになる。サマータイム時はなおさらだ。チェックインをすませ、部屋に荷物を置く。こじんまりしているがきれいで雰囲気のいいユースだ。斜め前にはボトルショップ、となりにはコインランドリーもある。
ここを起点にバロッサバレーの日帰りツアー、2泊3日のカンガルー島ツアーに参加した。バロッサバレーで初めてぶどう畑を見た。圧倒される広さだった。そしてお城のようなおしゃれな建物でワインの試飲。ワイナリーなんてこの頃はまだ日本にはほとんどなかったんじゃないだろうか。カンガルー島は面白かった。10人弱のツアーで、日本人は自分を入れて2人だけ。あとはアメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、カナダの旅行者だった。レンジャーの女性が4WDを駆使し、島内のいろんなところに案内してくれた。トレッキングで山越えをすると目の前に大海、そして脇には滝。私たちが泊まっていたキャビンの台所にハリモグラが迷い込んでいたり。カンガルーはもちろん、野生のアザラシも見た。春だからなのか、大きいオスがメスを追いかけまわしていた。私たちの近くまで来た。迫力満点だった。カモノハシには会えなかった。フランス人の女の子は雰囲気があって、桃井かおりのようなしゃべり方をする子だった。アメリカ人の男の子はムードメーカー的役割で明るかった。夕方、みんなで釣りをしたとき(私は釣れず)、宿に帰って私が魚を捌いていると、神経質そうなイギリス人の女の子が眉間にシワを寄せていた(笑)。カンガルー島は2019~20年の山火事で島の大半がやられたらしい。本当に心が痛む(少しだが野生動物保護の団体に寄付した)。この頃から私は旅で出会った人に一言書いてもらう「出会い帳」を始めていた。カナダ人の女の子2人は日本語を少しだけ習ったことがあるらしく、自分の名前をカタカナで書いてくれた。
大満足のツアーを終え、アデレードのユースに戻ってきた。キッチンで日本人の女の子と出会う。彼女(タマちゃん)はシドニーから来たのだが、アデレードのユースが気に入って、もう1カ月以上いるのだそう。タマちゃんからパスタの簡単でおいしい食べ方を教わった。ゆであがったパスタにバターと「ゆかり」をかけて和えるだけ。ハマった。以来、ラウンド(旅)しているときの自炊メニューは圧倒的にパスタとなった。他の仲良くなった子たちも交えて、マーケットで買ってきた食材を持ち寄って、ボトルショップでカスクワインを買って毎晩のように宴を開いた。自転車で旅をしているドイツ人のおじさんや、車を買って自分で旅をしている男の子、学生ビザで来て最後に旅をして帰るという大学生の女の子など、いろんな人がきて面白かった。夜中までキッチンで話した。
私はこれから内陸縦断往復の旅に向かう。エアーズロックダーウィンまで行き、またここに戻ってくる。季節を考えたら、こうするしかなかった。内陸を往復する奴なんてそうそういないだろう。すべての行程をここで予約し、北を目指した。またまた「トラベリン・バス」の始まりだ。