wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

内陸縦断往復の旅-北上編

アデレードからグレハン(長距離バス)に乗り約10時間。夜、最初の目的地クーバーピディに到着。ここはオパール採掘と地下都市で有名な町だ。バスターミナルから歩いてバックパッカーに行った。街灯がほとんどなく真っ暗で、でもそのおかげで星がこわいくらいよく見えた。暗闇のなか、目を凝らすとアボリジニがいた。びっくりした(向こうもびっくりしたと思う)。
翌朝、町を散策。暑い、暑すぎる。ここはもうアデレードとは気候がちがう。いきなりの気候の変化にちょっと戸惑う。今度は砂漠気候だ。猛烈に暑いけどカラッとしている。見渡すかぎり茶色。真っ青な空とは対照的だ。そしてなんもない。暑いのでボトルショップに行ってビールを買う。このとき酔っ払ったアボリジニのじいさんにからまれそうになって逃げた。この頃はビールと水は大して変わらない値段だった。内陸だから都市部と比べてちょっと高めだったが、とにかく暑いのでビールを飲まずにはいられなかった。宿のオーナーがオパール探しのツアー(無料)に連れて行ってくれたが、結局見つけられなかった。
クーバーピディからアリススプリングスへ。一気にダーウィンまでバスはさすがにきついので、ここで一泊する。アリスは比較的大きな町で、ショッピングモールもある。北上するとさらに暑くて、水辺が恋しくなる。町の地図を見ると「River」の文字が…。おお、川があるのか! 暑い中、とぼとぼ歩いていくと…私の歩いているここが「川」だった。干上がっていたのだ。水をたたえていると思った私がばかだった(今は乾期)。あまりに暑くてショッピングモールに戻り、涼をとった。ワニの肉をつかったサンドイッチを食べてみた。鶏のササミみたいでさっぱりした味だった。
翌日、再びトラベリン・バス。アリスからダーウィンへ。20時間近くかかったと思う。途中、大きな岩がゴロゴロしている「デビルスマーブルス」に寄ってくれた。残念ながら夕方でうまく写真が撮れなかった。
1995年10月19日の朝、ダーウィンに到着。蒸し暑い! こんどは熱帯性気候だ。湿気が鬱陶しい。こっちのほうが体に堪える。ハエも鬱陶しい。油断していると口の中にも入ってくる。ダーウィンでは、私はユースに泊まった。多くの人はバックパッカーに泊まっていたが、音楽がガンガンにかかって乱痴気騒ぎをしてるバックパッカーよりもユースのほうが静かで快適だった。この日通された4人部屋では私ともう一人のみ。ニュージーランド人の女の子で、とても感じのいい子だった。シャワーは共同で、部屋からかなり離れたところにあった。なんとなく、誰かいるような気がした…。あとで知ったのだが、ダーウィンのユースは元病院で「出る」という。でもユースは多かれ少なかれこういう背景を持つところが多かった。
ダーウィンでの目的はカカドゥ国立公園だ。すでに4WDのツアーに申し込んでいた。10月21日~23日の2泊3日。8人ほどの少人数でキャンプだ。日本から旅行で来た女性2人、ワーホリの女の子2人、あとはドイツからきた3人組。ドイツ人に「仕事を辞めて旅してるんだ」と言ったら、「僕たちは6か月の休暇をもらって旅行に来たんだ」と言っていた。日本じゃ半年の休みなんてどこもくれない。この時「辞めない方法を探ればよかったのかな」とチラッと頭をよぎった。
旅の目的の一つだったカカドゥの広大な景色には感動した。夕方のリバークルーズでは野生のワニを見た。大きな鳥(サギ?)たちが群れをなして飛んでいく。空はピンク色から紫色に変わっていく。私は夢中で写真を撮った。夜はキャンプ地でカンガルー肉のBBQ、そしてテントで寝た。幸いトイレはあった。シャワーはなかったので、日中はバラマンディゴージやツインフォールで泳いだ。なによりガイドが面白かった。時速100km近いスピードで走っているのに急に車を停めてブッシュの中に入っていき、エリマキトカゲをつかまえてきたり、大きな蟻塚も見せてくれた。おしりのところをかじるとレモンの味がするというグリーンアンツをつかまえて「どうだ、食ってみろ」と。苦かった記憶がある。充実した3日間だった。
ダーウィンではダーウィンのトラベルデスクで復路の予約をすべて済ませた。このあとはキャサリン渓谷、マタランカ、そしてエアーズロックへ行き、アデレードに戻る。カレンさんには本当にお世話になった。