wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

公務員時代3

思えば(このあとも)私は上司に恵まれないことが多かった。父親との確執のせいかもしれないが、あの年代のおっさんが苦手だった。私も若かったので生意気に見えたのかもしれない。当時はデスクでタバコが吸えた。あの頃の男はほとんどみんな喫煙者。タバコの煙の横で仕事をしたものだ。ある日、私が郵便局へ用を足しに行くとき、クソ係長が「タバコ買ってきて」。ハア?と思ったが、「嫌です」とも言えず、言われたとおりタバコを買ってきたこともあった。クソ係長は私にだけきつく当たった。決してハゲをバカにしたりだとか、失礼なことを言ったわけではない。最初から、私にだけ威圧的な態度を取った。なんでなんだろう?と悶々と悩む日が続いた。
とはいえ、周りの人には本当によくしてもらった。
私の上司、経理係長はクソだったが、主任の男性職員は物腰が柔らかで頭もよく、私に丁寧に仕事を教えてくれた。尊敬できる人だった。あとで聞いた話では、主任はその後本庁に異動し、予算調整の部署に行ったらしい(←分かりやすく言えばエリートが行くところ)。もう定年されたでしょうね。
また、残業したときは別の係の先輩女性が飲みに誘ってくれ、グチを聞いてくれたりした。先輩は当時10年目で、主任試験に受かって他局から異動してきたが、「ここは変わってる」と、私が思う違和感を肯定してくれた。前の局に戻りたいと言っていた。私は初めてだから判断しようがなかったけども、かなり変わった人が多い(癖の強い)職場だったようだ。この先輩女性はもう定年退職したが、今もつきあいがある。
最初のこの職場は陸の孤島みたいなところで、駅から徒歩25分くらいかかるところにあった。当時はコンビニもあまりなく、お昼は近所の数少ないお店へ食べに行ったり、蕎麦屋の出前をとったりしていた。当然、一番下っ端の私が出前の注文をとりまとめた。今と違って土曜日も毎週お昼まで働いていた。車が好きだった私は、許可をとって、土曜日だけ車で通勤したりした。免許取得後初めてのマイカー、ローンを組んで買ったトレノAE85(超マニアック)が私のストレス解消の場だった。いま思えばやっぱり生意気だったか(笑)
また、別の係のおじさん(定年間近のベテラン職員)は、お昼になると私と先輩女性を自分たちがいる別の部屋に呼んでくれ、お昼ごはんを食べながらいろいろ話を聞いてくれた。おいしいとんかつ屋や有名寿司屋に連れて行ってくれたりした。
その時、おじさんに「私は本当は大学に行きたかった、警察官になりたかったんだ(ここは本意ではない)」と言ったら、「夜学、受けてみれば?」と。大学の夜間部に社会人枠があるという。私はそんなこと考えてもいなかった(仕事と係長からの嫌がらせでいっぱいいいっぱいだった)ので、ああ、そういう道もあるのかと思った。後日、おじさんがここから通えそうな大学のパンフをいくつか持ってきてくれた。
翌年の冬、ある大学の夜間部(法学部)を受験した。ろくに勉強もしていなかったが、公務員ということもあってか、合格できた。2年目から、仕事と学業の両立が始まった。