wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

公務員時代9

庶務係になってホッとしたとはいえ、今度は一人ですべて行わなければならなくなった。本庁への予算要求、調整、決算報告。私がいた頃はまだ手書きだった。予算は(当たり前だが)目的の使途以外では使ってはならない。今はこれよりこっちに使いたいと言っても流用が認められない。そのくせ、付いた予算は全部つかわないと翌年減らされると言って無駄遣いする。手元に持てる現金の額も2万円以内に決められていた。しかし、「近所付き合い」というものがある。管轄区の商工会やら、地元の会社とかいろいろ。そういった名目で出せる科目がなかった。
会議をするときなどは起案して会議費を現金受領する。当日、コーヒー屋さんに支払うためだ。お茶代(接待費)としてお茶菓子も含めた単価×出席者分、しかも2万円以内の額だ。ここで、係長からコーヒー屋さんからは空白の領収証をもらっておいて」と指示される。「え~なんで?」と思ったが、逆らえない私は言うとおりにしていた。もやもやしながら、コーヒー屋さんから空白の領収証をもらってきた。ここで、当日欠席者が出たりして本当は浮いた金を、つじつまを合わせて全部使ったことにして、「近所付き合い」の資金としてプールしていたのだと思う。私は直接聞いたわけではないが、そういう目的ですぐに出せる現金を準備していたのだろう。単純明快に使った分だけ払って余った分は戻せばいいじゃん!と私は思ったのだが(初仕事で12円返した経験から敏感になっていた)、大人の事情があるのか知らんが、そういうことをしていた。(今は知りません。「約30年前は」、ということです。悪しからず!)
また、年間建物清掃委託(金額的には指名競争入札案件)についても、ずっと同じ業者だったので、私としては気になっていた。年度初めはどうしても異動と重なり、どこもバタバタして大変なのはわかっているが、私としてはナアナアの仕事はしたくなかった。係長に「ちゃんと入札をやりたい」と直訴した。仕様書を作り、マル秘の書類から業者を選定し(今までの業者も呼んだが)、事前に現場説明をして、入札日を迎えた。投票箱に紙を入れるように、業者が次々と封筒を入れた。
その場で入札箱を開ける…。
落札したのは、今までの業者だった。
がっかりした。
長年やってきてるから、役所の懐具合を知っているのだろう。予定価格に一番近かった。もしくは、事前に裏で話をつけていた(談合というほどでの規模ではないが)のだろう。私が甘チャンなのか。本当にがっかりした。
これが後になってみれば、大きな転機を迎えるきっかけとなった。