wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

公務員時代1

4月1日に辞令を受け、約1カ月間は新人研修。座学で法規関係、接遇などを教わった。5月、研修を終え、それぞれ配属先に。私は、国で言えば労働省のような部局に配属となった。高卒枠で入った者は基本的に出先機関に配属される。私が配属されたところは学校のようなところで、まわりは定年退職が近いおじいさんみたいな人ばかりだった。1年先輩の若い女性職員、あとは他部署から異動してきた30歳くらいの女性職員がいただけだった。私は経理係に配属され、主に年間契約の手続き事務、用土係を担当した。経理係は私を含めて4人。全員が異動などで新しく着任した人ばかりだった。役所でこのようなことは通常あまりない(この理由はあとで分かる)。人生初の直属の上司、経理係長は曲者だった。はげあがってるくせにかっこつけて、ポケットに手を入れて歩くようなやつだった。ろくに仕事も教えてくれず、なぜか新人の私には厳しく当たった。「俺は納得しないとハンコを押さない」と(ごもっともだが)ハンコを持ち歩いていた。隣の係の係長はハンコを引き出しに入れっぱなしにしていて、「私がいないときは使ってください」というタイプ(これはこれでダメだけど)だった。当時は手書きで稟議書を起案し、各係長の決裁(ハンコ)を得ないと仕事が進まなかった。係長クラスは下からあがってきた書類に目を通し、ハンコを押すだけが仕事だ。慣れない書類づくりや電話、接客対応、お茶出しで自分の仕事が進まないなか、じいさんたちは午後からスポーツ新聞を広げて読み出し、退職後の悠々自適な生活プランを話し、終業の鐘がなると帰っていく。「残業するやつはバカだ」とのたまって去っていく。私はのっけから、「ああ、やっぱりこういう仕事は自分には合わない」と暗い気持ちになっていった。