wanderer

人生放浪記(まだ更新中)。物心ついた頃から性別に違和感あり。職業選択の不自由を味わいながら結果的に「放浪者」になってしまったこれまでの人生を振り返る。

エアーズロックへ

早朝ピックアップ。今回も少人数のキャンプツアーに参加した。日本人は私一人。あとはすべてヨーロッパ勢。EC共同体か。
砂漠地帯を延々とドライブすると、偽エアーズロックが見えてきた。それでもけっこう感動した。今日はまずマウントオルガとキングスキャニオンへ。水筒を配られたが、あっという間にお湯になった。マウントオルガは「風の谷のナウシカ」のモデルになったところらしい。赤土の山、風が強い。空は真っ青だ。
夕方、待望のエアーズロックシャンパンが振る舞われた。日が沈むのをみんなで見た。真っ赤に染まるエアーズロック、オレンジからピンク、そして紫に変わる空。圧巻だった。柵の向こうにテーブルがセットされていて「?」と思ったら、日本人のカップル(新婚?)がやってきた。ああ…。ウルルを見ながらディナー、ね。パック旅行にあるオプションね。なんだか恥ずかしかった。
夜は火を焚いてキャンプ。日中は50度近く気温が上がるが、夜は寒いくらいに冷える。火を囲み、分厚い寝袋で、テントを張らずにみんなで寝た。ものすごい星の数。あちこちで流れ星。初めて見たミルキーウェイ(天の川)。クーバーピディのときも感動したがそれ以上だった。本当にすごかった。星が降ってくるんじゃないか。逆に怖かった。
スウェーデンから来た若いカップルが私に話しかけてくれた。最初、何を言っているのかわからなかったが、どうやら黒沢映画のことを言っている。へえ、こんなに若いのに好きなんだ。ごめん、私はあまりよく知らないんだ(苦笑)。
翌日、真っ暗なうちに出発、いよいよエアーズロックに登る。アボリジニの聖地なので本当は登らないでほしいというのは知っていたが、やっぱり登りたかった。そして、ある計画を立てていた。
最初は岩に鎖が打ち付けられており、それにつかまりながら登っていく。そのうち鎖がなくなり、あとは自分で行くしかない。アップダウンが激しい。岩の表面はつるつるして滑る。そして風が強い。油断すると足をとられる。けっこうきつかった。
そしてやっと頂上へ。すごい景色だ。全部赤茶色。なんにもない。写真を撮ったあと、リュックの中から「例のもの」を取り出した。そして同じツアーのドイツの子に写真をお願いした。
私は中1の頃から矢沢永吉のファンだ。というわけで、永ちゃんのタオル(荷物になるから小さめのタオル)を持ってきていたのだ。これをエアーズロックの頂上でなびかせたかったのだ。
写真を撮ってもらったあと、ドイツの子が「それなに?」と聞いてきたので、日本の有名なロックシンガーのタオルなんだと説明した。
すっかり日が昇り、私たちは下ることにした。下りも気を遣う。本当に風が強くて、気を抜けない。気温もかなり高くなってきた。下からは続々と人が登ってくる。今からじゃ暑くて倒れちゃうんじゃないか。日本人のツアーご一行様もやってきた。ペアルックのカップルがいた(新婚か)。男のほうがへばっていた。あれじゃ成田離婚だな、なんて思った。
エアーズロックを下りたあとは、周囲をウォーキング。アボリジニが遺した壁画などを説明を受けながら回った。
そのあとプールに入る。ホッとする。そのときドイツとフランスの女の子を見て驚いた。わき毛がそのままだったのだ。へえ~。カルチャーショックだった。プールに入りながら「なんであなたたちは英語も喋れるの」と聞くと、「小学校から英語の授業があるのよ」と言った。いまでこそ、日本も取り入れるとかいう話が出ているが、やっぱり私の感覚だと日本は(男女の役割意識とか労働者の権利とか諸々)30年は後れているなと思った。
アリススプリングスに戻り、ユースで1泊。風呂に入る前、足の裏に違和感を感じたので何気なく見てみたら、おおきな水膨れができていた。ちょっと痛いけど自分で破って水を抜いた。それくらい歩きっぱなしだった。
翌朝、またトラベリン・バスでダイレクトにアデレードまで戻る。21時間。距離にして1500km以上。日本じゃ考えられない長旅だ。斜め前にはオージーのおばあちゃんが乗っていて、私を見て「He」と言った。たまたま乗り合わせていた日本人の男の子が「Sheだ」と言ったので謝られたがおばあちゃんは正しい。余計なこと言うなよ。
途中、どうしてもウンコがしたくなり、クーバーピディでしばらく停車するというので下車、ロードハウスのトイレにかけこんだ。すっきりしてバスに戻ろうとしたら…バスが行ってしまった。ええ~っ‼ 参ったなあ、でもとりあえず財布はあるし、一度泊まってるから町はわかるし、1晩泊まるか…とすっかりオージーモードでいたら、バスが戻ってきた。あ~よかった。前半の旅の大きな目的を果たし、大満足だった。バス旅にもだいぶ慣れてきた。